今回は、アメリカの音楽業界で定番となっているプロ用ヘッドホン「SONY MDR-7506」の海外レビューを翻訳しました。 MDR-7506はモニターヘッドホンと呼ばれるジャンルの製品です。音楽鑑賞用の一般的なヘッドホンとは違い、音を楽しむための味付けが少なめになっています。主に音を正確に聞くことを目的とするプロが、レコーディング現場などで使用する道具ですね。このMDR-7506が、アメリカのアマゾンでは大人気なんです。投稿されたレビュー数は4,500件を超えていて、中身を読むと、プロではない普通の音楽ファンも多数愛用しています。 米アマゾンでの販売価格は100ドル(約11,200円。日本のアマゾンでは2018年7月13日現在で10,524円です)程度と、プロ用としては比較的安価なこともヒットの理由の一つでしょうが、1991年に発売されたこの製品が、なぜ27年経過した今も高い支持を受けているのか、どうぞ、以下のレビュー翻訳を読んでご確認下さい。なお、米アマゾンに投稿されたレビューの集計は下図の通りです。
↓では、レビュー翻訳をどうぞ!
● 「これからもずっと使い続けるであろう唯一のヘッドホン」男性 シカゴ 評価:★★★★★
24年前、ラジオ業界に入ったときからずっと、このヘッドホンだけを使い続けてきたよ。今使っているもので、もう8台目か9台目になるだろう。別に頻繁に壊れるからじゃないんだ。ラジオ業界で働く人々は、他人のヘッドホンを「永遠に借り続ける」傾向があるからなんだよ!
とにかく、MDR7506はサウンド品質も製造品質も信じられないほどのものだ。クッキリとした高音、バランス良くクリアな中音、そして、何より素晴らしいのが低音の完璧さだ! 低音の情報量は実に豊富でありながら、醜く歪んだりこもったりすることがない。全ての音域がちゃんと聞けるヘッドホンというのは、誰もが望むものでありながら、実はなかなか存在しないものだ。これは悲しいことでもあるんだけれど、ソニーがほぼ30年前に達成できていたことを、他のヘッドホンでは今もほとんど達成できていないんだよ。
完璧なバランスの高音と中音、そして一級品の低音、さらに優れた製造品質を考えれば、これが100ドル(約11,200円)程度で手に入るというのは、かなり驚異的なことだね。僕がこれを最初に買ったのは1993年のことだ。あの頃は、確か200ドルくらいだったと思う。今もまだ200ドルだとしても、喜んでその値段を払うだろうね。そのくらいの価値が、こいつにはあるからだ。 そして、そう思っているのは僕だけじゃない。レコーディングスタジオやラジオのスタジオに入ってもらえば分かるだろうが、そこで会う人の誰もがこのヘッドホンを使っているんだ。恐らく95%くらいの人が、このSony MDR7506を使っているはずだよ。 1991年の発売開始当初から今に至るまで、ほぼすべてのサウンド・エンジニアやバンドメンバーたちがこいつと一緒に仕事をし続けているのは、偶然でもなんでもない。音楽で生計を立てるために一日何時間もヘッドホンを着けているような人々は、どのヘッドホンが最高であるかをちゃんと分かっているものなんだ。だからこそ、彼らはこのヘッドホンを使い続けているんだよ。
かなり長い文章になってしまって申し訳ない。僕はヘッドホンのことになると、ついつい熱くなってしまうからね。僕は20年以上、このMDR7506だけを使い続けてきたことを正直に、そして情熱的に書いてきただけだが、ひょっとするとソニーは僕に感謝してくれるかもしれないね。ただ、僕としてはソニーからこのヘッドホンを送ってもらおうとしてこんなレビューを書いたわけじゃないんだ。今も1台持っていて、毎日仕事で使っているからね。 ただ、まあ、できれば予備としてもう1台欲しいとは思わないでもない。なんせ、僕は物騒なシカゴの街に住んでいるものだから、路上で奪われる可能性も考えておかないとね。うーん、怖い街だ。このMDR7506を失うかもしれないなんて、まさに悪夢だね(笑)。 オーケー、本当にこれで終わりにしよう。とにかく最高のヘッドホンだよ。
● 「クラシックと声楽曲に最適なヘッドホン」 男性 コネティカット州 評価:★★★★★
僕は最近、大学生アカペラ歌唱団のCDを5枚プロデュースしたので、かなり長い時間、歌を聴くことに費やした。僕はコネティカット州にいて、レコーディング・エンジニアはフロリダにいるので、彼とのやりとりが結構大変だった。彼は編曲済みのデータを僕に聴かせるため、サーバーにアップする。それを聴いた僕は、コメントと提案を彼に送るという流れなんだが、ここで重要になるのは、彼がアップしてくれたデータを、僕が可能な限り正確に聴くということだ。
そこで僕は、8種類のヘッドホンをテストしてみた。その中で最高のヘッドホンが、このソニー MDR7506だったというわけだ。ゼンハイザーのHD650もかなり優秀だったが、値段はソニーの3倍以上もする。最終的にはサウンドステージが決め手になってソニーを選んだ。 サウンドステージは、説明が難しい概念だ。イヤホンやヘッドホンが良好なサウンドステージを表現できる場合、聞き手は音が左右に広がりを持つだけでなく、前後の遠近感や深みも感じられ、どの音が、どの位置で鳴っているかを正確に把握できるようになる。かなり感覚的なものではあるけれど、スタジオでの音楽作りがうまくいくかどうかは、これが大きな意味を持ってくるものなんだ。 そしてヘッドホンには素晴らしいサウンドステージを示してくれるものもあれば、そうでないものもある。その点で、ゼンハイザーのヘッドホンはいつも素晴らしかった。でも、ソニーのMDR7506は最高だった。このヘッドホンで聴く音楽にはかなりの深みがある。そして、長い時間使っても、聴き疲れすることがない。 ロックを聴く人たちにだって、おすすめできるヘッドホンでもあるね。低音はあくまでフラットで、決して過剰に強調されたりしてはいないけれど、うまくレコーディングされたロックなら、実に生き生きと再現してくれるんだよ。中音だって非常にクリアーだから、ボーカルの声は実に生々しくて、完璧に没入できるだろう。息をのむほどの音とは、まさにこのヘッドホンで聞こえる音のことだと思う。僕はこのヘッドホンを愛している。
● 「買いましょう!」 女性 評価:★★★★★
このヘッドホンを使い始めたことで、それまで、いかに多くの情報を聞きそこねていたかということを実感できましたね。
私は法廷記者として、文字起こしの仕事をしています。裁判で証言などの言葉を聞き、文字に記録するのですが、これまではブルートゥースのイヤホンを使っていました。ケーブル付きのイヤホンだと、なんだかロープで縛られているような、拘束されているような感じがして、好きではなかったからです。 ただし、このやり方だと、実は多くの重要な情報を聞き漏らしていたことが分かりました。MDR7506を使い始めてから気づいたことです。このヘッドホンを使うと、非常に小さなつぶやきまで聞き取れるのです。私の仕事では、全ての言葉を拾い上げて文字にすることが極めて重要ですから、非常に助かりますね。 おかげで、どんな発言も全てを聞き取れるようになりました。二人の人物が同時に発言した場合ですら、それぞれの言葉を別々のものとして聞き分けられますし、結果的には全ての言葉を聞き取れるのです。 自宅で使う時は、私が飼っている犬の鳴き声や食洗機の音などを完全に遮断してくれるわけではありませんが、かなり弱めてくれますので、ヘッドホンの中から聞こえてくる声とは明確に別のものと認識できます。 音楽についても、クリアーでキレが良く、美しい音に聞こえますね。私はオーディオマニアではありませんが、音楽についても信じられないほどよく聞こえるということは言えますね。ノートパソコンで映画を鑑賞する時でも音が良いのは感じますし、イコライザーを使って遊んだりしても楽しめます。 唯一の欠点はイヤーパッドの部分ですね。ビニールのような素材を使っているせいか、これを着けていると汗をかきやすいのです。そこで、他の方のレビューを参考にして、Beyerdynamic EDT250Vという別売りのイヤーパッドを購入しました。結果は良好でしたよ。取り付けも30分とかかりませんでしたしね。今や完璧なヘッドホンになりました!
● 「電子ピアノで使うために購入しました」 女性 評価:★★★★☆
私はとっても素敵なヤマハの電子ピアノ クラビノーバ CLP-430を持っています。この楽器について大好きなところはたくさんありますけれど、内蔵スピーカーの音質については、残念ながら、大好きな要素の中に含まれていません。最初にこの楽器を買った時には、むしろ、かなりガッカリしました。
クラビノーバのようなハイエンドの電子ピアノなら、音質はアコースティックなピアノにかなり近いものであるべきです。でも、実際に内蔵スピーカーから流れる音は小さくて、いかにもデジタルという感じの音だったのです。そこで、私は良いヘッドホンの購入を検討し始めました。クリアーな高音や豊かな低音が出るヘッドホンを使えば、プロフェッショナルな楽器ならではの、本来の音が聴けるのではないかと考えたからです。 多くのレビューを読んで、自分の用途に合うヘッドホンはどれだろうと検討を重ねた結果、選んだのがこのMDR7506です。結果として、私のピアノから出る音は、アコースティックそっくりになりました。電子ピアノの音だとは、ほぼ気づかないレベルです。おかげで、電子ピアノを心から楽しめるようになりました。とってもハッピーな気分です。
そして、つけ心地もとても快適です。私の頭はどちらかと言えば大きめなのですが、心地よくフィットしてくれて、頭痛になったりすることもありません。イヤーパッド部分は柔らかくて、耳を覆うのに十分な大きさがあります。コードも十分に長くて、演奏中の動きが制限されることもありません。これは私にとって大事なことでした。また、コードの重みもちょうど良いので、体を動かした時にあちこちへ跳ねてしまうようなこともありませんでしたし、かといって、引きずるほど重いわけでもありません。 折り畳めばスーツケースにも収納できますし、移動中に壊れるような心配も要りません。品質の良さを考えれば、とてもリーズナブルな値段でもありました。 ノイズキャンセリングのような技術は使われていませんが、外音遮断性は高いですよ。おかげで、家の中の色んな音に気が散ることもなく、演奏に集中できます。ピアノが置いてある部屋のエアコンはとてもうるさいのですが、ヘッドホンをつけていれば、ほとんど聞こえないですね。ルームメイトが隣の部屋でテレビを観たり電話で喋ったりしていても、気になりません。さすがに隣の部屋で誰かが銃を乱射したりすれば聞こえるでしょうが、大半のノイズは気にならないですね。 もし、このヘッドホンが壊れてしまうようなことがあれば、喜んで、また同じ物を買いますよ!
● 「僕は、良いヘッドホンに買い換えたかった」 男性 ノースカロライナ州 評価:★★★★★
そして、僕の要求通りだったのが、このヘッドホンだ。このヘッドホンのおかげで、すでに大好きだった曲に、新たな命が宿ったように感じたよ。サウンドステージはありふれたヘッドホンとまるで別物だ。文字通り、全ての音が正しい位置で正しく聞こえるという感じだね。聞き慣れた大好きな曲でも、これまでは聞き取れなかった細部が聞き取れたり、自分がそれまで思っていたのと微妙な違いがあるのに気づいたりする。実に興味深い経験だよ。一番好きな曲のはずなのに、まるで初めて聴いた曲のように感じるんだ。
こう言った方が分かりやすいかな?自分の奥さんのことを思い浮かべてくれ。美しい人かな?え?そうでもないって?次に、結婚した当時の奥さんがどう見えたかを思い出してほしい。そう、その感覚だ。このヘッドホンで好きな曲を聴くと、まさにその新鮮な感覚がよみがえってくるんだよ。
ヘッドホンアンプは必須だろうと思う。それが欠点といえば欠点かな。ただし、良いヘッドホンアンプを使えば、それまで感じていたより、さらに音質が良くなるのも確かだよ。 このヘッドホンを使うと、最初は鋭いキツめの音に感じられるかもしれない。でも、実はそれが本来の音なんだ。安いヘッドホンだと、どんな音楽でもそれなりの音質で聞けるように設計されている。ただし、あくまでそれなりの音質であって、それ以上のものにはならない。MDR7506は違う。作曲された通り、レコーディングされた通りの音を出してくれるんだ。全ての高音、全ての低音、その間にある音も全てを再現してくれる。文字通り全てを聞かせてくれるんだ。一度馴染んでしまえば、決して購入を後悔することはないだろう。 ああ、それから個々の楽器の音が、きっちり別々の音として分離されて聞こえるのも特筆ものの素晴らしさだよ。これを買おう。払った金額分の価値は必ずあるよ。
● 「”欠点は無い”というレビューを書いても良いものなんだろうか?」 男性 評価:★★★★★
ソニーのMDR7506ヘッドホンが音楽業界や放送業界に与えたインパクトの大きさは、あえて大げさに書くまでもないだろうと思う。このMDR7506は実際に、すでに我々の業界で主力のヘッドホンになっているからだ。ゼロックスのコピー機やクリネックスのティッシュペーパー、マウスウォッシュのリステリンのようなものだと思ってほしい。
コピー品は何度も作られたが、結局、MDR7506の代わりを務めることはできなかった。テクノロジーが急速に進歩している今日でも、結局、MDR7506に勝るものはない。発売から30年近く経っているが、今でもMDR7506が業界の標準だ。 確かに、今のヘッドホンだって音は良いかもしれない。製造品質だって悪くないし、長持ちもするだろう。そして、安い値段で楽しく音楽を鑑賞できるのかもしれない。しかし、私自身の耳に心地よく響くのはMDR7506の音だ。ポップスであれロックであれ、EDMや重低音重視の音楽であれ、必要な音は全て鳴らしてくれる。低音を過剰に強調することもないし、音を歪ませることもない。派手になり過ぎることがないのに、リッチで締まった音が出る。自然でフラットな高音が、過剰に広すぎない音場でバランスよく鳴ってくれる。 私はシンセサイザー奏者であり、サウンド・デザイナーであり、熱心な音楽愛好家でもある。その私から見て、このMDR7506は「音を正確に再現してくれる唯一のヘッドホン」だ。そして、その他全てのヘッドホンは「MDR7506に似たもの」に過ぎない。同意できないという人に対して違った表現をするなら、MDR7506は「全てが聞こえるヘッドホン」とも言える。良い意味でも悪い意味でも、このヘッドホンには他のヘッドホンで音楽を聴いた時に感じる、フィルターのようなものが一切かかっていない。音はあくまでありのままであり、真実のままなのだ。 もし、このヘッドホンが肌に合わないなら、それはモニターヘッドホン自体を諦めなければならないということであり、部屋でアコースティックな音楽を正しく聴くことができないということでもある。
そう、これはそれほど絶対的な品質のヘッドホンなのだ。
(翻訳終わり)
管理人より:いつもコメントを投稿してくださる皆さん、どうもありがとうございます!次回の更新は 再来週の金曜日(7月27日)です。よかったら、また見に来て下さいね。
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